業界再編の流れを見据えるなか、5年越しでのプレパッケージ型民事再生の完結

業種

建材製造業

規模

年商約40億円、従業員約140名

状況

公共土木工事向け製品が主力商品となる業態から、需要の季節変動が大きく、毎年のように多額の季節資金調達が必要であるうえに、公共事業の大幅減少のなか売上減少による収益力低下と在庫の過剰化が進み、それに呼応して金融債務の過剰化も進んでいた。
また、業界全体においても同様状況の同業社が増加する中で、大手企業による再編(同業社買収)が進んでいたこともあり、同社においても債務整理を伴う形での事業売却による事業再生を模索していた。

スキーム等

債務の過剰化と資金繰りの逼迫化が進み、需要予測も下方傾向にあったことから、傷口の拡大を招く前において何らかの抜本的な金融支援(単なる条件変更に留まらない債務減免ないし大規模は金利減免等)を主力金融機関へ要請するとともに経営責任ともあわせ業界再編の機運が高まっていることから、大手同業者をスポンサーとして経営者自らは身を引くことを覚悟するも、金融機関の事情もあり、約4年間実現しないまま予想通りに売上が減少していきつつも抜本的なリストラ等もできず事業の劣化が進んでしまった。
そのようななか、金融機関においても再編機運が高まったことをきっかけに、同社の抜本再生の議論が再開、その4年前に検討されていた「大手同業者をスポンサーとする民事再生手続き」を選択することとなり、予めスポンサーへの経営権譲渡の基本契約を締結したうえでの民事再生法の手続き開始申立を行った。

結果

上記経緯から、社長の覚悟は決まっており、かつその他経営幹部の理解も早々に得ることができ、かつ主力金融機関においても事前に大枠の同意を得ることができたことから民事再生手続きは円滑にスタートした。
途中、事前にスポンサー基本契約を締結していたにも拘わらず、民事再生手続き開始後に別の候補者が名乗りを上げてくるも、十分な準備期間を経てきた原候補に定性的にも定量的にも合理性があり、入札の結果当初予定通りの候補者、スキームにて事業譲渡が完了、当初の検討時期から実に約5年の期間を経過して一連の事業再生手続きが完結するに至った。