「第二会社方式」による私的整理により地域経済安定にも貢献した地場ビルダーの再生

業種

住宅工務店

規模

年商約10億円、従業員数約30名

状況

債務超過、営業利益段階での大きな赤字、資金繰り逼迫かつ「資金の先食い」という典型的な実質破綻状況にあるも、1000等を超える施工実績と、その状況にありながらも年間50棟程度の受注を持つことから、単純な経営破綻を起こせば過去施工物件に対するアフター対応や現施工物件の施工が確保されないといった「社会問題」を発生させることが懸念される状況であった。
また同時に全国的に建設業の業績不振が続いているなか、「営業力ある住宅事業」は地域内における「地域ゼネコン」においては魅力的な存在であり、地域建設業の衰退阻止ないし活性化という社会貢献にも寄与できる余地があることから、主力取引行も「なんとしてでも事業再生を支援する」という環境にあった。

スキーム等

主力金融機関からの支援意向が明確であった中、中小企業再生支援協議会の活用も視野に入れるも業態、業況等の観点に加え、資金繰り状況から一刻を争う状況であったため、支援協議会を活用しない中での「スポンサー型第二会社方式」により、財務と事業の分離をもって再生を図るスキームを選択することとなった。
地域建設業の不振が続くなか、「元気ある地域ビルダー」の事業へ興味をもつスポンサー候補はすぐに出現、スポンサーが用意する第二会社への事業譲渡をもって事業の継続を図り、会社については特別清算によって終結させることとした。

結果

社長は引き続きスポンサー企業の「雇われ社長」として継続、スポンサーの潤沢な資金力や信用力を背景に、本来必要とされていたモデルルームの増築や土地の先行取得等も可能になり、営業力はさらに強化、事業を成長軌道に乗せることができ、事業再生として成功を図るとともに、スポンサー企業においても「新風」を吹き込むことができ、過去・現在の顧客及びその背後にある住宅ローンに対する悪影響を回避できるにとどまらず、広く地域経済へ好影響をもたらすことができた。